双子の恋物語
『れ、恋…歩くの早いよぉ〜…』

『うさぎさーん?いるなら出てきてー?』

うぅ…無視ですか…

ガサガサッ

『きゃっ!もう〜何〜?』

『うさぎさん??嘘!大変!』

音がした方に急ぐ恋の背中を追うと、そこには傷だらけのうさぎが一匹だけいた。

『えっ?!なんでこんなに傷だらけなの?!しかも、もう一匹は?!』

『愛、とりあえずその子を連れて噴水まで戻ろう!』

私はうさぎを抱えて、元来た道を戻ろうとした。

すると、細い道があったはずのそこには、木がたくさん生い茂っていた。

『あれ…?恋、私たちってこっちから来たよね?』

『うん…そのはずだけど…』

おかしいな、と思いつつ、辺りを見回した。

『ね、ねぇ、愛。さっきより木が近づいてる気がしない?』

恋に言われ、木を見てみると、確かにさっきより近い。

『や、やめてよ〜木が動いてるって言うの?』

そう言った瞬間、まさかの木が少し動いた。

『…まさかね〜』

『…まさか、ねぇ〜?』

恋と顔を合わせ、次の瞬間。

『『ダーーーッシュ!!!』』

私たちはジェットコースターに並ぶ時よりも早く走り出していた。
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