夏恵
朝日を見ることは出来ないが僕は新潟に向かう事にした。
ホントは目的地は何処でもいい、ただ夏恵と一秒でも多く時間を共にしたい。
ただ、僕に残された時間は物凄く短くて、その短い時間を精一杯鳴き続けるヒグラシの様に僕は何かに突き動かされていた。
今日は僕が生まれた日で、今は夏恵がもっとも愛する季節。
ヒグラシ達は短い夏の夕闇を必死に鳴き続ける。
僕は夏恵と過ごせる夏を幸せに思う。
だけど何故か僕は夏恵を愛せる時間を永遠に感じる事が出来なかった。
僕は夏恵と言う季節をヒグラシの様に鳴き続けているしか出来なかった。