夏恵
『・・・海行くんすか?』
『あぁ・・その予定だけど・・何で?』
『いや・・なんか綺麗なバスタオルないかって騒いでたから・・』
『・・明子が?』
『・・・そうっす。』
『・・明子らしい』
義信の言葉に僕は実に明子らしい行動に妙に納得して自然と笑みがこぼれた。
明子は僕が待たせていたにも関わらず『ごめんなさい』と言いながら、おそらく一番綺麗なバスタオルが入っている大きなトートバッグを抱えて玄関から出てきた。
僕が『バスタオルはあったかい?』と聞くと気恥ずかしそうに笑い、すぐさま義信を睨み付けた。
義信は笑いながら僕達を『いってらっしゃい』と見送った。