夏恵

車を走らせながら実家に寄ってきた為遅くなってしまったと明子に謝ると、明子は笑顔で『私は大丈夫、お盆なんだし』と言った。


途中少し流れの悪い道路に捕まったが、僕達は予定よりもちょっと遅いくらいで『いわき』に着いた。

そして湯元の温泉街に着くと、半年程前から予約を取っていた旅館を探した。

温泉街はすぐ近くに巨大なスパリゾートがあり、この時期は沢山の家族連れで賑わっていた。

狭い坂道を上りきる中腹に僕達の泊まる旅館を見つけた。

僕は思ったよりも綺麗な旅館に満足した。

パンフレットには総業うん十年と書いてあり予約を入れた時も少し不安になっていたのだが、風情のあると言えばいいのだろうか、温泉街を見下ろす小山に沿った様にその建物は建っていた。

申し訳程度に設けられた駐車場に車を停めて僕達は旅館の中へ入った。

明子は嬉しそうに僕と腕を組んでいた。
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