夏恵
『・・・これから行くの?』
『あぁ・・・時間的にも人が居なくてちょうど良いし・・』
日はまだ照っているが、時計は既に4時近くを回っており、僕の申し出に明子は荷解きをしながら戸惑いを隠せない様子で聞きなおしてきた。
普段であれば僕も、ゆっくり落ち着く間も無く出かける様な事をしない。
ただ今日中に僕は姉に伝えたいと思っていた。
僕自身も嬉しく思った父と母の事を。
『・・・姉さんに教えてやらなくちゃ・・・』
『・・・・姉さん?』
僕の言葉は明子を益々混乱させた。
だが明子は戸惑いながらも僕の申し出を笑顔で聞き入れてくれた。