夏恵
僕は車中で明子に今日の実家での出来事を話した。
明子はまるで自分の事の様に喜び、僕以上に姉へのお供え物を真剣に悩んだ。
明子は『甘い物でケーキが良いんじゃないか?』とか、『ぬいぐるみが良いんじゃないか?』とか、花以外に思いつく物の無かった僕よりも発想が豊かだった。
僕達は海岸までの街道沿いの大きなショッピングセンターに入り、姉へのお供え物を選ぶ事にした。
明子が何か可愛い物が良いと言うので僕達は子供用の衣料品や玩具の売っているコーナーに向かった。
明子は相変わらず僕の腕に絡まりながら幸せそうな顔で商品棚を眺めていた。
明子は『これが良いんじゃい?』と子供用の砂場セットを指差した。
全体的に丸みを帯びた、赤いプラスチック製の可愛らしいスコップや熊手が入ったバケツのセットだった。
僕も明子のセレクトに納得し購入する事にした。