夏恵
今までの様に日常を過ごしているが、確かに今の僕の中ではパーツが足りない機械の様にギクシャクとした時間が流れている。
パーツの足りない部分はぽっかりと空いていて、その穴に不安を押し詰めた様に黒いドロドロとした物が溜まっていた。
僕はそれに気付いていたが、僕はそれを見ない様にするしか術が無かった。
そうしなければ僕はそのドロドロに飲み込まれてしまいそうになる。
しかし目を背け続ける事が適わない程に、僕は弱っていたらしい。
久し振りに会う人間が気付いてしまう程、それは表面に染み出していた。
『・・・リビドー』
『・・・え?』
『前に須藤さんが話してたじゃないですか・・・リビドーって・・・』
『あぁ・・・スナックで話したあれですか。それが何か?』
『それって・・・愛ですか?』
『何です?突然・・・』
須藤は僕の発言に酷く驚いたらしく目を大きくしながら聞き返してきた。