夏恵

『・・・女は?』


僕は更に問い掛けを続けた。


『女は分かりません・・・女は心と子宮で感じる言うやないですか?・・そんな発想は男には無いでしょ。まっ少なくとも私は睾丸で感じた事は無いですし・・・』


そう言って須藤はうまい事言ったといった感じの表情で笑った。

僕も須藤に釣られて笑ってしまった。


『子宮で感じるって時点で女はエロスのリビドーと直結してるのかもしれませんな・・・それはもしかすると愛なのかもしれませんな。』


『・・・タナトスは?』


『うーん・・・タナトスはわかりませんなぁ・・・死や自己破壊への欲求は愛とはちゃいますし・・・ただ愛と死は表裏一体と言いますし・・・とは言っても私にはその意味すら理解出来ませんけどね』


『・・・表裏一体』


僕はそう反芻し、夏恵の事を深く考えた。
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