夏恵

 ここ何日間か天候が悪く太陽をまともに見る事がなかった。

台風が去って雲一つない空は、太陽がこんなに明るい事を訴えるかの様に明るく輝いていた。


 病院に到着してICUの前まで行って、そのフロアのナースステーションにICUの入室許可を貰いに行くと看護師は須藤がICUに居ない事を教えてくれた。僕はその事を聞いて慌てた。

そして看護師に『須藤は今どこに?』と聞くと『少々お待ち下さい』と言い先日からの引継ぎらしいメモを見ながら、須藤の居場所を探してくれた。


一件目の須藤の奥さんからの着信履歴は僕が家に帰ってから二時間くらい後の午前一時を過ぎた頃だった。

一件目の着信が僕を酷く不安にさせた。


『・・・病室を移られてますねぇ』


『・・・え?』


『今朝早くに病室を移られてます。』


そして奥の方から別の看護師が『本当は良くないんですけど』と言った。

僕は看護師に須藤の移った病室を聞きICUと同じ新館の一階下の階に向かった。
< 174 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop