夏恵

病室は6人程の部屋だったが、須藤ともう一人の入院患者しか居らず閑散とした雰囲気だった。

須藤は窓際のベットで、ベットの背もたれを起こし外を見ていた。

僕が須藤の方へ近づくと足音に気付いたのかコチラを振り向いた。


『大丈夫なんですか?』


『あっ吉岡さん!ええ大丈夫です!ご迷惑おかけしました。』


『それよりも・・・昨日の今日で一般病棟に来て大丈夫なんですか?』


『いやいやいや・・・確かに良くないんでしょうけど・・・何せICUは何や金かかる聞いたもんですから・・・』


そう言って須藤は苦笑いを浮かべ『それにカミさんがシャワーキャップみたいなん被ってるんで笑ってまうんです』と付け加えた。

須藤の言葉に僕も苦笑いを浮かべた。


『・・・意識を取り戻せて何よりです』


『マンションのローンがまだ残ってるんですわ・・・それに何より息子も居ますし・・・』


そう言って須藤はまた外を眺めた。

僕はそんな須藤を尊敬せずにはいられなかった。
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