夏恵
『・・・何か?』
僕は事の真相が判らないまま、先程の木村さんの様に気まずげに部長にお伺いを立てる。
『帰って来て早々で悪いんだけど・・・また、浜の方行ってくれるか?』
僕は何かミスを犯してしまったのか不安になった。
だが本来の部長であればミスを頭ごなしに怒鳴りつける。
今日の部長は穏やかな口調のまま僕に申し訳なさそうに語りかける。
『・・・はい・・・構いませんけど・・・・僕何か?』
雰囲気の違う部長に僕はいつも以上に不安になる。
益々事の真相が気になる。
『お前礼服はあるよな?・・・取り敢えず一旦帰って支度してくれ。』
状況は全く飲み込めない。木村さんは内容を知っていたから気まずそうに僕に質問したんだろが、皆が気まずく感じる状況を未だに僕だけ理解出来ずにいる。
『持ってますけど・・・何です?』
僕は少し苛立ちながら、部長に質問を続ける。