夏恵
『トモは夏生まれ?』
夏恵は不安になった僕をよそに、また明るく僕に問いかけた。
『・・・う・うん今週・・』
『ホントにぃ?じゃぁ祝わなくちゃ!!休める?』
『・・・休めるって?・・土曜だから休みだよ。』
夏恵は嬉しそうに僕に抱きついてきた。
僕は運転をしているので少しハンドルを取られそうになり慌てたが、夏恵が喜んでくれた事が嬉しくて、僕の首や頬に子供の様に可愛らしく、しきりにキスをする夏恵をいさめる事なく車を走らせた。
『・・・夏恵』
『ん・・?』
『・・したい』
『いいよ・・・』
夏恵は僕の耳に吹き込む様にそう言って僕の肩にもたれる。
僕は走った事の無い海沿いの道を走る。
僕らは不似合いな石垣風の壁に囲まれた海沿いの古いラブホテルに入る。