夏恵
『ご飯でも食べにいく?』
僕は軽く空腹を覚えていた。
『・・・ううん・・いらない』
『じゃぁ少し走る?』
『・・・うん』
僕は当ても無く車を走らせ始めた。
軽い疲労からか二人暫く沈黙していた。
『・・・このまま新潟の海に行かない?』
『・・・え?』
押し黙った空気を裂いたのは夏恵の突拍子も無い提案だった。
『・・・・ん・・・なんで?』
『・・・朝日を見に』
『新潟は朝日は見れないよ。』
『そうなの?』
『西の海には日は沈むんだよ』
『・・・そうだね』
夏恵がまた悪戯に微笑む。僕はそんな夏恵を愛おしく想う。