夏恵

結局、須藤は酔いつぶれる寸前の状態まで飲み、僕は須藤を、予約していたビジネスホテルの部屋まで送った。

翌日の仕事の事が不安になったが、翌朝須藤は時間通りホテルのフロントまで降りてきて予定通りにその日の日程をこなした。

須藤の仕事振りは相変わらず素晴らしく前日のアルコール量を微塵も感じさせなかった。

そのお蔭で日程は二日間で終了し三日目の朝の新幹線で須藤は帰る事になった。

新幹線に乗る前に僕は彼の息子にとキオスクで売っていた新幹線の玩具を買った。

彼は深々と頭を下げながら新幹線のホームに入っていった。

エスカレーターで上がって行く間も何度もこちらに頭を下げる須藤を見送り改札の前のコーヒーショップに入った。


携帯を確認すると明子からメールが入っていた。

メールには『明日も仕事になりそう?』と書いてあり、僕は『明日もやっぱり仕事になった。ゴメン』と返信した。

そして僕はアドレスの中から夏恵の名前を探して電話を掛けた。

僕は明子を裏切っていると知りながら夏恵に電話を掛ける。

4回目のコールで電話が繋がった。
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