深夜12時25分の束縛
……実は、彼の隣りをこうして歩くのは、2年ぶりだったりする。
彼は私より1つ年上。
先に高校を卒業した彼の傍にどうしても行きたくて、同じ大学に入学し、その頃は半同棲生活。
仲は、きっと良い方だった。
好きの二文字を言葉にすることはお互い少なかったけれど、それでも気持ちにズレがないことだけは分かっていたし、たまに口論になることはあっても大きな喧嘩をすることなく、穏やかで幸せな毎日を送ってきた。
小さな幸せの積み重ね。
そういう毎日。
だけど、そんな日常も彼が社会人になってから、がらりと変わった。
彼の仕事先は片道3時間の県外で、一方の私も研究課題や卒論で手が離せず、忙しくて時間も合わずに全然会えなくなった。
落ち着いたらデートに行こうね、なんて約束したけれど、次の年には私が社会人1年目をスタートして、あげく勤務地は彼と遠く離れた場所。
お互いの多忙な時期が長期間、立て続けにきてしまい、彼とした約束は果たせないまま、こうして月日だけが経った。