深夜12時25分の束縛

 ――クリスマスを間近に控え、街中はそれ一色に染まっている。


 雪がちらつき冷え込む深夜に、なぜ2年ぶりに彼と会っているのかというと。


 私の勤めている仕事場の取引先に、高校時代にお世話になったミナミさんという女の先輩がいて、この間偶然にも再会して盛り上がり、近々プライベートで会いたいねと話したことがきっかけ。


 この先輩は彼と同級生でもあるから、どうせならダブルデートしたいねということで、ついさっきまで私の彼と、ミナミ先輩と、その彼という4人のメンバーで居酒屋で飲んでいた。


 ようやく仕事にも慣れて、やっととれたお休み。


 みんなの都合が合って今日こうして会えたのは、運が良かったとしか言いようがない。


 地元に降り立ったのも久しぶりで思い出話に花が咲いたけど、仕事の相談やミナミさんの恋愛事情なんかを聞くうちに、気がつけば彼氏を放置して女子会状態。


 楽しい時間はあっという間に過ぎていき、夜も深まったところでお開きとなった。


 彼氏と同棲しているというミナミ先輩たちと居酒屋で分かれ、そして今彼と2人きりの状況になっているというわけだ。


 だけど、そわそわと落ち着かない。


 久しぶりに会ったっていうのに、彼とまともに交わした会話はさっきが初めてだったし、飲んでいるときもミナミさんにべったりだったから。


 それに、何よりこの微妙な距離感が不安を掻き立てる。

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