最後の恋愛
「くそぉ、ハルの・・・馬鹿ヤロー。」

結婚も視野に入れてた私と違って、ハル・・・彼には他に女がいた。

「二股ってわけだよな。けどさ、そんなにイイ男でもなかったよな。」

マスターに見せたい一身で連れて来たこともあったっけ。

そういう事実も、いまや恥でしかない。

「そうそう、丸顔でさ、似合わない口ひげ生やしちゃって。確か、10歳は年下だって言ってたね。」

私もあのひげは似合わないと思ってた。

「音楽とか、趣味とか、全然合わないって言ってたもん。」

「じゃあ、それなのに、2年も逆によく頑張ったじゃん。」

「ねぇ、お互いに。」

そう言って、ふたりで笑っている。

私はがばっと頭を起こして、余計なお世話よぉ、と叫んだ。
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