最後の恋愛
「森さん。」

何だ、まだ居たのか。

早く立ち去れ大麦隼人!

大麦は、にこりと微笑んで私の耳元に顔を下ろして言った。

「今夜、飲みに行こうよ。」

とりあえず、へ?と返してリピートを乞う。

「7時に柊でね。」

ぎくっとした。

まさかの柊。

と、いうことはあの時・・・まさかのあの飲んだくれた金曜の夜、大麦部所長があの場にいたってこと?

あそこは穴場中の穴場だよ?

知ってる人なんか見たこともないし。

まさか、職場の・・・しかも部所長がいるとは。

何たる世間の狭さ。

「・・・は、い。」

だらだらと流れる額の汗をそのままに、私は何とか答えた。
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