小さな光
桜が散る少し前
あの子はいなくなった
私の前から
静かに静かに、密やかに


誰が悪いというのなら
きっとあの子以外皆悪くって
私もきっと、悪かった


あの子はいつも笑ってて
いつも皆を笑わせて
小さな傷を巧妙に
隠すんだ


なんでもないよ
どうってことないように笑うあの子

私はどうして
気付かなかったのだろう

なんでもないよ
その言葉があの子の
口癖になっていたということに


何度も何度も傷を見つけては
そのたびに私は聞いて
そのたびにあの子は笑って言った
なんでもないよ



桜が散った
はらはらはらり

あの子はいない
ぽろぽろぽろり

零れる涙は
哀しみから?
後悔から?
罪悪感から?



あの子はいない

あの男のせいで
皆のせいで
私のせいで


だからせめて
願おうか
祈ろうか

罪悪感と
後悔と

本当に好きだったって
思いをこめて


すべてのものに
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