OUT


「なぁ深美。」

「んー?」



深美は夢を見た。

その夢は過去にあった思い出で…

まだ知り合って間もない頃の真理和と自分。




授業サボって、屋上でパンをかじってる時の会話。



「俺さぁー…親の有り難みがイマイチわかんないんだよなぁー」


「………はい?」


真理和は寂しげな表情を深美に見せると、

「聞いてくれる?」

…と聞いてきた。


「黒嶋らしくねーな、どーした?」


深美がそう尋ねると、真理和はパンをかじって言った。




「昨日、うちの親離婚したんだー!!」

「………!」

「まぁ…小さい頃から、ばぁちゃんやじぃちゃんが俺の面倒見ててくれてたから…あんま実感ないんだけど!」

「…黒嶋…」

「俺はばぁちゃん家にくれてやるんだとさ!」

「…………」

「……最初はどうでもよかったけど…、なんか急に寂しくなっちまって…」

「……」

「育ててくんないのかよ!…みたいな?」





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