OUT

その頃、永遠達はやっと五階から四階に移動していた。




「…深美達は無事かな…?」


ネロがぽつりと呟いた。


「…大丈夫だ…二人なら…絶対…」


永遠が二人を思い出し、同じく呟くように言う。

「ねぇ、永遠。」

「………ん?」

永遠はネロを横目で見た。


「生きて……出れたら…」


ネロが俯き、永遠は眉を寄せた。

そして、続けた。



「…生きてでたら、まず…お兄ちゃんにギュッてしてもらぅ…」


…………?


「…ネロ…お兄ちゃんいたんだ…」


「…ぅん…世界で一番大好きな…お兄ちゃん…」



ネロが愛おしそうに言うから、永遠が少しだけ、嫌になる。



「…ギュッてしてもらったら…自分の部屋に行って…ベッドに潜るの…ゆっくり寝たぃ…永遠は?」



永遠は急に話を渡され、びっくりする。



…そして、思う事を坦々と口に出した。




「お風呂に入って、ゆっくり寝て、尚に会って、またちゃんと学校行きたいな…」



ネロはニコッと笑う。



「…はやく帰りたいね…」



「あぁ…帰りたい…」






なんだかとても悲しくなった。



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