OUT

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地下にいる真理和は、まだその場を離れようとはしなかった。



…悪い夢…


…もうこんなの早く醒めたらいいのに。


…だって…おかしいじゃん…


…さっきまで、出口の場所がわかって、二人で泣いて喜んだじゃないか。



…その前は、真剣に俺を心配してくれて、泣いてくれたじゃないか。





「…はやく…醒めてくれよぉ…」



風穴の通る手の平で、夢じゃないことくらいわかっている。



けど、こんな重すぎる現実を、信じることができないんだ。




「………」



真理和は穴だらけの…けど眠っているような深美を、また見た。






………だよな……




お前の死…無駄にしちゃ、駄目だよな……





真理和は深美の左耳についている、羽がついている、大きなピアスをとると、自分の耳につけた。




「…深美…おれ、ちょっと行ってくるから…これ…借りるな!!!」





俺が動かなくちゃ、



みんながまた無駄な死を迎える。




なんとか…




なんとかして、みんなを見つけなければ。




真理和は元来た場所に、足を進めた。



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