OUT
「…形見…」
夢はポツリと呟く。
竜は目を細めて夢の反応を見た。
「そっ形見!!もっと役に立つ物欲しかったけどな」
竜は何が可笑しいのか、ケラケラと笑い出す。
「十分いいじゃないか…竜に勿体ないよ」
夢が軽く嫌みっぽく言うと、竜がより一層笑い出した。
「…さっきからなにが可笑しいんだ?」
「いやー…なんか夢全然笑わねぇなーって。だから代わりに笑ってやってんの。」
……変な奴。
「わ…!!笑えないような状況にいますから!!」
「そんなしかめっつらしてたら、不幸がくるぞー!あーやだやだ」
……現に今すごい不幸だと思いますが。
「……あ…あのさ、」
「………ん-?」
夢は竜から視線をずらして、続けた。
「なんで人が目の前で死んでるのに、お前は泣いたり、怖くなったりしないの?」
夢は嫌みったらしく、ちょっと強く言った。
「…辛い時も、我慢して笑ったら、その場を乗り越えられる…必ず幸せになる……」
「……?」
「昔から、そう言われて育ったから、笑うの…染み付いたんだ。」
竜は夢の方をバッと見た。
「気持ち悪いだろ?」
夢が経験した中で、一番反応に困った瞬間だった。