OUT


しばらくの沈黙を破ったのは、夢だ。




「…竜…俺…なんか…このゲームして、やっと命の大切さ…わかったんだ…」



竜の体がピクリと動く。



「日常が暇だから、いつ死んでもいいなって思った時、あったんだ。…けど、自分や周りの人達が危なくなった時…周りが゙生きたい゙って言いながら死んでいくの見てたら……」



夢の目に涙が滲んだ。



「…むっちゃ…自分の命が大切だって…思えた…生きたいって…思えたんだ…」



最初に死んだ桜樹…


最後まで笑顔だった桃…


溶けていった…美咲…


吸い込まれていった華菜…



みんなみんな…



「もっと…生きたかっただろーな…ぁ」



竜がやっと笑うのをやめた。

「………」



そして、次のドアを睨んだ。



「……だな…だからそいつらの分も、絶対生きてここにでなきゃな」



竜が次のドアを開けた。



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