OUT
ネロは視線を外すと、家にいる兄を、思い出した。
……お兄ちゃん…
………………………。
――――
「…なんだ?どうしたんだいその格好。」
泥だらけのネロを見て、兄は不思議そうな表情をして、尋ねた。
ネロは無言で、兄の胸へ、飛び込んだ。
「ネロ…またやられたのか…」
兄ははぁ…とため息をつくと、ネロの頭を優しく撫でた。
「…お兄ちゃん…私はおかしいの?」
「……ん?」
「死んだ人が見える事は、人に後ろから蹴り飛ばされるほどに、おかしい事なの?」
兄はしばらく考えた。
その後、ネロの頭を撫でて、言った。
「…おかしくないよ、ネロ。その子はきっと、自分に見えない物が見えるネロに、ちょっとびっくりしただけなんだよ。」
ネロと同じ色の髪をクシャクシャといじると、またネロに飛び切りの笑顔を見せた。
「……さ…口切ってるみたいだし、はやく手当しよう?」
……世間でいえばブラコン。
…そんなのはどうでもいい。
……お兄ちゃんに会いたい。
そして、…この事を報告したいの…。
「…永遠、」
ネロがまた、永遠を呼んだ。
「……ん?何?」
「私と永遠はお友達?」
永遠は少し顔を赤くしてから、呟くように言った。
「……うん…!友達だよ」
……私に、友達ができた事を。