OUT
嫌な予感がする。
お願い……
そのエレベーターに近づかないで
「行こう!?先、深美や真理和を捜そう…!?」
ネロは必死に永遠を引き止める。
けど、永遠は止まらない。
「大丈夫…見るだけだから…罠にかからないから…」
永遠がつくった笑顔で言っても、どんなに優しい口調で言っても、ネロの中の不安はおさまることはない。
むしろ、大きくなっていくばかりだ。
「…ネロ…大丈夫…罠にはかからないから…」
その瞬間、ネロは永遠の服をやっと離した。
永遠はしばらくネロを見つめ、エレベーターの方を見た。
ネロは体をガタガタ震わせ、永遠を見守った。
……お兄ちゃん……
……これ以上しつこく永遠を止めたら、永遠はもう私を嫌いになっちゃう…?
しつこい女だって思われちゃう?
……永遠を失いたくない。
……初めての友達を…好きになった人を、失いたくない。
こうゆうとき、普通の人はどうやって止めるのかな…
あのエレベーターが罠だったと言う私の予感が外れますように…
ネロはエレベーターの向かい側にある壁をふと見つめた。
「……!?」