OUT
それから数年間、ネロは地味に嫌がらせをくらった。
一昨日は靴が消えて、上履きで家に帰った。
昨日は体操着が消えた。
そして今日は、後ろから誰かに蹴られて、泥だらけで家に帰った。
もう自分には友達出来ない。
――出来なくてもいい。
「…そんなわけないだろう?」
ネロの顔についている泥を拭き終わると、ネロの兄は、一言言った。
「……いいの…私…人に合わせたくないし…一人のほうが楽だし…」
兄は、ネロを見詰めると言った。
「……友達は自分が苦しい時、辛い時、いつでも助けてくれる…家族や恋人と同じくらい大切な存在なんだよ?」
…………。
「絶対できる…大丈夫だよ?ネロ、それまで俺に甘えていいよ?」
お兄ちゃんに励まされたからこそ、辛い現実を乗り越えれた。
―――本当にありがとう…お兄ちゃん。
「ネロ――――!!!!」
永遠の声が、やっと耳に入った。
「………と…わ…」
ネロはやっと覚醒した。