OUT
「永遠…聞いてくれる…?」
永遠は涙で顔がグシャグシャになる。
「……ネロぉ…」
もう扉にも触れることすら命の危険になり、ネロの手に触れることもできなくなった。
さっきまで優しく握ってくれていたネロの手の温かさだけが、虚しく残る。
「……私……あと一分ぐらいで死んじゃうけど……後悔してないょ…」
「……ぇ……」
ネロはまた柔らかい笑顔を見せた。
永遠の体が震え出した。
「……な…なに言ってんだよ……ね…ろ…」
ネロは涙を堪え、ニッと笑ってみせた。
――初めてみる表情に、永遠はより胸が痛くなった。
ネロは続けた。
「私ね、ずっと友達っていぅ存在…いなかったんだ…いままで…ずーっと…けど……」
その時、ガコン、とエレベーターが微動した。
永遠はネロを見る。
「…けどね…私の為に、こんなに必死になってくれて…友達だって言ってくれる…永遠に出会えてよかった……救うことができてよかった…」
ネロはまた涙を一粒落とした。