OUT
…ながいながい、真理和が穴の中で体験した話の結末は悲しいものだった。




「………深美…死んじまったんだ……」




永遠は目を大きくして、永遠を見た。




「………ぁ…」



永遠は、真理和の隣にいたはずの、深美の姿がないことに、今初めて気がついた。




「……俺…むっちゃ近くにいたのに……どうすることもできなかったんだ……」









―――ただ罠にかかる深美に……



――背を向けて、自分の非力さに泣き叫ぶ事しかできなかったんだ………。






永遠の中で、真理和の話と、自分がネロを救う事が出来なかった現実が重なった。




「……俺がスーパーマンだったら……あんな罠、一ひねりだったんだけどなぁ…く…」





とうとう、真理和は泣き出してしまった。




永遠も、真理和の言葉に泣いた。






――自分がスーパーマンだったら…


あんな罠……


一ひねりだったんだけどなぁ…







苦すぎる現実が、二人の心をえぐる。



『守る』という言葉は、誰だって言える。



けど、実際に『守る』時に、自分の非力さがやっとわかるんだ。



苦く、酷い現実は、多分いつまでも二人の心に残るだろう……。



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