OUT
軍人について歩いている時、永遠はネロに耳打ちした。
「…川里さんは…?」
「…ん?」
「川里さんは…なんであんな卑劣な奴のいけにえになったんだ…?」
ネロは血まみれの口をくっと持ち上げ、言った。
「…あの人…面白いよね…私…びっくりしたょ…」
「………???」
「…どうせ誰かがいかないと…無駄に殺されるんでしょう?…仕方なかったのょ…」
なにも恐れてなさそうな、その漆黒の瞳が、少し怖くかんじた。
「……憎く…ないの…?」
永遠は恐る恐る聞いた。
「私、言ったでしょ?…あのクラス…嫌いじゃないって…」
「……?」
「……だから…桐田君も、ほかの子達も…全然恨んでないよ?」
永遠はポケットからハンカチを出して、ネロの前に出した。
「……その血…拭きなよ…川里さん肌白いから…すっごい目立つ…」
ネロはハンカチを手にとり、口元を拭いた。
「……ありがとう神崎くん…あと、私の事…ネロでいぃから…」
この時永遠は、初めてネロの柔らかい笑顔を見た。