OUT
部屋に入ると同時に、病院独特の匂いが強さを増した。
真っ白の部屋には、レントゲンを貼るボードと、部屋と同様、真っ白の机、その近くに、金髪の女性がこちらを見ていた。
「…イラッシャイ…二人共…」
片言の日本語で、二人を自分の前まで来させると、緑色の瞳で二人を見つめた。
「……はじめまして…神崎永遠です。」
「黒嶋…真理和…」
二人の声を聞くと、女性は優しい表情をして、二人の頭を撫でた。
「…事情ハ聞きましタ…ヨク堪えましタね…はやくソノ辛イ傷ヲ治しましょう…」
二人は女性を見ると、口だけ笑った。
「私ハ…ローニャ…貴方達の担当ヲしマす…、もう時間がない……、コレ以上ほっておくと、腐食スルわ…マリオ…すぐに手術ニとりかかル…おいで…」
ローニャはマリオをナースに預けた。
『第0542室で手術します…つれていきなさい』
『はい』
ナースは真理和の手を掴んで、ドアを出ようとした。