OUT

「………ぐず…」



それを感じた瞬間、涙がでてきた。


これでよかったんだ。

これから先…

苦しい事や辛い事…

一人になる事なんてしょっちゅうあるんだから…


こんな所で、泣いてる場合じゃないよな?



永遠は涙を袖で拭いた。

…その時だった。



゙トン……゙



永遠は目を丸くした。


「………え……」



人はいないはずなのに、


誰もいないはずなのに、



永遠の背中に暖かいなにかが引っ付いたような気がした。



体が固まって、後ろをむけない…。



「………え…ね…ネロ…?」


その言葉は、あくまで直感。

もちろん、返事はこなかった。



不思議で、
懐かしくて、
なんだか哀しい感情が、永遠の中を巡る。



゙…永遠は一人じゃない…゙




そして、永遠の頭の中で

優しくて、
独特な喋り方で、
懐かしくて、
愛おしい…


……ネロの声が聞こえたような気がした…。



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