OUT

その頃、永遠達は重い足を動かし、隣にあるドアに向かった。




「……どうする…?誰が入ろう…?」


夢が腕を組み、あまり浮かない表情でドアを見ていた。



「…私…嫌よ…行きたくない…」

美咲が体をガタガタ震わせ、みんなに訴える。


……しかし

それで
「わかったよ」
…なんて言える状態ではない。

…この屋敷で…そんな余裕ぶった事はとてもじゃないけど言えない。



「…やっぱ…じゃんけんのほうがいいかな…?」



永遠がそう呟くと、夢が微妙そうな顔をして、
「…やっぱりそうだよな…」
……と言った。


「いや!じゃんけんで命左右されたくないもん!」

また美咲が拒否をする。


「それ以外になんか方法があるのかよ!」


美咲の反応に苛々していた深美が、少しキレ気味な声で言う。


「…しらないよ!けど私は行きたくない!!!」


「そんなのみんなそうなんだよ!一人の我が儘が通る訳ないだろが!!」



ついには叫んでしまった。


すると美咲がまた大粒の涙を流して、泣き叫びだした。



「いやー!!私…死にたくないもぉおん!!!死にたくないー!!!!」



――もう…竜がいなければ話が進まない…


多分、ここに竜がいれば、どんなに美咲が嫌がっても、じゃんけんしたはずだ。

…だが…

…やっぱり情が入って、じゃんけんすることができない…。



みんなの表情が、また険しくなってきた。




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