OUT
――三年前……
中学に入って間もない頃だった。
「さーわだくんっさーわーだー!!!」
金髪でシルバーアクセサリー、ピアスは両耳合計6つ開いてる俺に、誰も喋りかけてこなく、一人で弁当を食べてる時だったと思う。
「…沢田の卵焼き頂戴さ!!」
―最初の会話がこれ。
図々しい奴だ。
俺はいつもの、生れつきの鋭い目つきで、そいつ、黒嶋真理和を睨みつけた。
「…沢田の卵焼き、いっつも美味しそうだなって思ってたんだー!!一口っあーん♪」
なんだこいつ、
いっつも人の弁当の卵焼き見てたのか?
…変人じゃねえか。
俺ははやくどっか行ってほしくて、真理和の口に卵焼きを突っ込んだ。
真理和はうざいほど卵焼きを味わった後、俺に一言言ったんだ。
「ちょ…やんめー!!!予想以上だよ!!!お前の母さん卵焼き上手いのな!!」
やんめー?
「やっべー」って意味か?
日本語ちゃんと使え馬鹿。
「はい、御礼に俺の卵焼きあげる♪」
真理和はフォークに刺した卵焼きを、俺の口元に持ってきた。
しばらく、卵焼きとにらめっこ。
「ぎゃははは!!毒なんて入ってないよ!!!ま、味は保証しないけど!!」
―俺はしばらくして、やっと卵焼きを口に含んだ。
……………!!!!!
「―――かっらぁあい!!!!!」
俺は自分でも情けない声をだして、叫んだ。
―みんな俺の方を見ている。