【壁ドン企画】 あ。もう俺の負けでかまいません。
あ。傷つけてたんだと思った。
こいつがこんなにベラベラ話す時は、大抵強がっている時だから。
これだけ饒舌に言うって事は、こいつは今、弱ってんだ。
ずっと一緒にいるせいでお互いのクセなんて知り尽くしてるけど、今はそれが恨めしかった。
俺が傷つけたっていう事実を、知りたくなかった。
後悔に突き落とされる。
でも……まぁ、そりゃそうか。
フラフラして女の子つまみ食いするのが趣味なクサレモテ野郎の俺と、なんて、こいつにとっては悪夢だったのかもしれない。
例え、俺にとってはすげー大事な事で、それをきっかけに今までしてきた事がどれだけアホだったかを後悔するほどのものだったとしても。
例え、もう他のどんなスタイルいー女も可愛い女もいらないから、ただひとりだけを欲しいと願うほどのものだったとしても。
こいつにとっては犬にでも咬まれた感じだったのかもしれない。
俺を避けてたのだってきっと、ただ単純に俺と顔を合わせたくなかったからだ。
って事はあれか。
この一週間、恋する乙女よろしく、ドキドキそわそわしながら前髪気にして過ごしていたのは俺だけか。
好きだとか、どういう感じで言えばいいんだろうとか思って、知恵袋で女子がときめく告白とかぐぐったの俺だけか。