【壁ドン企画】 あ。もう俺の負けでかまいません。


言った後、足の指の先から頭のてっぺんまで石化してガラガラと崩れ落ちた自分が脳内に映った。

予知夢だ。
だってもしも「なんとなく」とか「その場のノリ」とか答えられたら俺はきっと石化を免れない。
勝手だけど、そこに俺だからみたいな特別な意味合いの優しさを織り交ぜてくれないと確実に砕ける。

そしてデリカシーゼロ本音100%でできているこいつは多分、そんな事は言ってくれない。

終わった……と、脳内の俺がつーっと静かに涙を流す。

けれど。
脳内シミュレーションにあまりのショックを受けてぼんやりと眺める先で浮かべられたのは、照れたようなしかめっ面で。
照れながらも何かを必死に言おうとして、俺をチラチラと見上げる、初めて見るこいつで。

石化して止まっていた時間がトクントクンと花をまき散らせながら動き出す。

「だって……あんたに抱かれたいって思ったんだから仕方ないでしょ」

資料室にぶわっと舞う、花びらの嵐。

「……うん。あの、好き」


もう全部俺の負けでいいから。
だから、俺の彼女になってください。













END
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