きっと恋、これは恋。



無意識のうちに、腕を掴む手に力が加わる。



ひなたは焦る俺を不思議そうに見つめて


ふふっと笑った後にこう言った。





「違うよ。」



首を横に振り、意思を示す。





「ちゃんと、断ってくるから。」








ひなたのその言葉に、俺はふっと力を緩める。




その隙に、

ひなたはすっと俺から離れていく。










…そんなこと言われたって、


心配なもんはなにも変わらないけど。




ひなたの言葉を、


ひなたの、俺にだけ見せてくれるあの笑顔を、



信じてみようと思うんだ。








少しだけ教室に残って学校の宿題を終わらせてから、


ひなたにメールを送った。






"学校で待ってる"





この、ただ一言のメールを。



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