きっと恋、これは恋。
それからさらに5分ほどたった頃だろうか。
遠くにこちらへ向かってくるなにかの姿が見えた。
それはものすごく急いでいて、
全速力でいて。
「…修平。」
俺に声をかけた。
肩を上げ下げして、呼吸を整えようとするひなた。
とても可愛くて、抱き締めたくなる。
その衝動を抑えて、ひなたのもとへと駆け寄った。
「遅すぎ」
頭をぽんっと撫でると、
ひなたの赤い顔にさらに熱が帯びる気がした。
俺は手を差し出す。
そして
「帰ろう?」
そう笑顔で言うと、
ひなたはその手を優しく握り返す。
そんなひなたの顔は、
今にも泣きそうで。
なにか辛いことを抱えているようだった。
だから、
「…なんでも話せよ。
ちゃんと、聞いてるから。」
隣を歩くひなたに声をかけた。
するとひなたの繋いである手に、力がこもった。