きっと恋、これは恋。
…なんの理屈にもなってない。
いや…ね?
外でいちゃつくぶんにはいいと思う。
でも、人前になるとやっぱ…
「恥ずかしいから、離れて!!」
私は修平の身体を押した。
すると、それは意外にも簡単に離れて。
そのあとは、学校につくまでなにも話すことはなかった。
しかし
校門前、人がたくさん通っているところで佐久間君が急に立ち止まった。
前にいった私たちが振り向くと、
佐久間君は、
八田先輩!!と修平の名前を呼んだ。
「ひなた先輩のこと、好きでいるのは勝手ですよね。
…僕が、ひなた先輩にアタックするのも。」
そう告げて、
佐久間君はそれじゃあと校内へ駆けていった。
先程のことを経て、
修平の方を見てみると。
唇を噛み、苦しそうな表情をしていた。
怒っていないんだ、と少しほっとして
修平に声をかける。
「はやく、いこう??」
修平は、ぎこちない笑顔を浮かべて、
自分の教室へとはいっていった。
…修平の考えていることが分からない。
なんで怒るのかも、
なんで苦しそうにするのかも、
なんで自分を隠そうとするのかも。
私は察しが悪いから。
言ってくれないと分かんない。
思ってること、全部言ってほしい。
…修平のこと、もっと知りたい。
私達は、気づかなかった。
…違う。
"気づけなかった"んだ。
お互いの想いが、すでにずれはじめていることに。