きっと恋、これは恋。
気がつけばもう授業は全て終わっていて
自分が挨拶をするために席を立ったことすら、記憶になかった。
「修平!!」
そんなとき、ドアの方からひなたの声が聞こえた。
それが嬉しくて、そちらを向くと
俺はもはやなにも話すことができなくなりそうだった。
…ひなたの隣には、佐久間がいた。
今まで、なんだかんだ言いつつ
帰りだけは二人の空間を保てていたというのに。
帰りまで、佐久間と一緒、か。
…なんで、ひなたはそういうことをできるんだよ。
俺は、ひなたの彼氏で、
俺たちは"カレカノ"なんだろ??
これ以上、辛いのなんて嫌なんだ。
…多分
十年近く我慢し続けて、やっと実った恋だから。
なによりもひなたがいとおしくて
ひなたが欲しくて
ひなただけを見つめていたくて。
こんな俺を知ったら、ひなたは引いてしまうのかと思うと、こんなことは言えるはずがなかった。
…好きでいた時間が長いからって、
俺らが付き合ってるからって、
なんでも言い合えるなかにはならないんだ。
この俺とひなたの感覚の違いが、少しだけ辛くなった。