きっと恋、これは恋。




「鍵は後で渡すから。

 まぁ、せいぜい真剣に取り組んで反省することだな。」






私が唖然としているなか、

先生はそう言って教室を去っていった。






嘘だろ…






まるで、絶望のふちに立たされた瞬間。





大袈裟なんかではない。



あの千穂からの恋愛相談。


ちゃんときいてあげよう。

力になってあげたい。



そう、思っていた。





その矢先にこれなんて。


先生は鬼か。鬼なのか。




この時ほど先生のことを憎いと思ったことはない。







「ひなた。」






私があからさまにガックリとして席に着くと、
それを察した千穂が声をかけてくれる。




「…資料室、だって。」






私がそう言うと、

千穂も「あー…」といって苦笑いをした。





「ごめんね!!
 話って、明日でも大丈夫かな?」






泣く泣くそう告げると、千穂はなんで?とでも言いたげに首をかしげる。






「私も掃除、手伝うよ。」




< 175 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop