きっと恋、これは恋。
私がそんなことを考えていると、
千穂は変なものでも見るかのように私のことを見つめた。
「…あんた、なにそんなニヤニヤしてんの?キモい。」
嘘っ!!
私は慌てて顔を戻そうとする。
全然気がつかなかった…。
でも
「あんま戻ってないけど」
そう言われてしまう。
それは私がもともとこういう顔だと言いたいのか、
それとも言葉そのままに本当に表情が変わっていないのか。
どちらなのかはよく分からない。
校庭に出ると、運動部の人が片付けを行っている最中だった。
修平は屋内で行うバスケ部なので、
もちろんそこに姿はない。
でも、先ほど下駄箱を覗いたとき、
まだ靴はあったから、
きっとまだあちらも片付けの最中なのだろう。
私は携帯を開いた。
手際よくスマホの画面をスライドさせながら、メールの画面へと移す。
宛先を修平にして、こう打った。
『千穂と先帰ってるね』
送信ボタンを押す。
修平から、メールしろと言われているわけではないけれど。
いつも一緒に帰っているから、
たまに帰れなくなったときはお互いにこのようなやり取りをする。