きっと恋、これは恋。



教室に入ると、ひなたはすでに来ていた。




時間を見ると、もう8時をすぎていて。





席につくと後ろからひなたに肩を叩かれる。






振り返ると、ひなたはなにやら強張った表情だ。




「どうしよう…私の方が緊張してきちゃった!!」






そんなことを言うものだから、

私の心も少しふわっと軽くなる。





「ひなたは見守るだけだよ?」


「でもー…!!
 なんで千穂はそんなに落ち着いていられるの!?」







落ち着いてなんかない。


抑えて、抑えまくって。



圧し殺そうとしているだけ。





そうでもしないと、この小さな胸は今にも潰れてしまいそうで。






「緊張してないわけ、ないじゃん。」





ひなたにだけ聞こえるように、小さな小さな声でそっと呟く。




ひなたは意外そうに目を見開き、私のことを見つめる。



「そっか。やっぱり、するよね。」




そして眉を下げて苦笑いをする。






表情のコロコロ変わるひなたとは、

一緒にいるだけでも楽しくて。



緊張もほんの少しずつ和らいでいくんだ。





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