きっと恋、これは恋。



僕は一瞬キョトンとしたあと、



「えっと…好きな人がいるから…」




苦笑いをしつつ、

その子を見る。




彼女は下を向く。



メガネをかけたその姿は、

地味で目立たないものだったが、

髪の毛で顔が隠れるとより一層それを際立てた。






しばらく静寂が流れた。




少しすると、彼女の方から小さな声が聞こえてきた。





「__________ます。」






最初の方が聞き取れず、

一度聞き返してみる。




「ごめん、もう一回…」



「じゃあ、私が佐久間くんを落として見せます!!」






僕らの出会いはここだった。




名前も知らない彼女に、

そう言われたことこそ、

僕の運命の出会いだった。




……………のかもしれない。







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