きっと恋、これは恋。
そんなことを言われたのは初めてで、
それには流石に焦った。
彼女は一人で話を進めていく。
「私が、佐久間くんに好きになってもらえるように頑張るから…
私と、付き合ってください。」
よく見ると、握りしめられた彼女の手は細かく震えていて。
どうにもこの言葉を無視することは出来ないようだ。
ここに来てもなお振るようなことをしようものなら、
僕は最低最悪の人間じゃないか。
そんなひどいことはしたくない。
そう思い、僕は彼女の方を向く。
「君、名前は?」
「篠原…依里奈です。」
不安げな面持ちをした彼女はそう答えた。
そして、僕はこう言った。
「僕は、好きな人がいる。
…けど、篠原さんがそう言うなら。
やってみなよ。」