きっと恋、これは恋。
敢えて挑発するような言い方をした。
すると篠原さんは顔をバッと上げて、僕を見つめた。
顔を伏せていたから分からなかったが、
彼女の瞳は少しだけ潤んでいた。
「ほんと…ですか。」
「いいよ。
…でも、多分僕は落ちない。」
「おとしてみせます。
私を、好きになってもらいます!!」
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
無邪気に笑う姿はとても可愛らしくて、
胸がトクンと、一瞬だけ高鳴った気がした。
「あと、敬語はいらないよ。
それ、同じ学年でしょ?」
彼女の上履きを指して言う。
僕のものと同じ色をした上履きが目にはいったからだ。
「は……う、うん!!」
「じゃ、帰ろう?」
僕はその日、篠原さんと一緒に帰り道を歩いた。
ひなた先輩と一緒に帰ることがなくなって、
女子と帰るのはそれが初めてだった。