きっと恋、これは恋。



…はじめて知った。


告白ってする方ばっかり緊張するものだと思っていたから。



でも、違った。



…その告白を、断る方も


すごい勇気が必要なんだ。

って。



だって今、こんなに胸が苦しい。



告白した方からしたら余計なお世話だけど、

罪悪感が半端ない。




佐久間君のほうを見ると、

やっぱり少しだけ切なげな表情を浮かべていて。




後悔とかじゃないんだ。


なのに、

振ったことにたいして、佐久間君に悪いと思ってしまう私は悪い。




「そんなに、

 重く考えなくてもいいんですよ?」



私の心情を察したのか、佐久間君が声をかけてくれる。



「…後輩に慰められるとか、笑っちゃうね。

 そもそも、絶対状況からして立場は逆なはずなのに。」



笑いながら言う。


佐久間君も、笑ってくれる。




そのあと、二人で10分間くらい会話をしてから店を後にした。




「ごちそうさまでした。」


「いえいえ!!

 もっと高いの頼んでよかったのに」



…私は


最後に


と言った。




「これからも、仲良くしてね。」




少しだけ眉を下げて、照れたように笑う。



自分で振っておきながら、

図々しいお願いだって分かってる。



でも


君がいい人だって、知った。





「はい!!こちらこそ。」





…ほらね。



君は私なんかに、気を配るんだ。


< 76 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop