きっと恋、これは恋。



「あの…

 どうしましたか?」




無言で手を引かれ続けていたけれど、


やはり理由は重要だ。





「なにって…

 
 足。
 かばってたでしょ。」





先輩は、僕の足元を指差して言った。




…気づいて、くれてたんだ。




近くにいたクラスの人ですら気づかなかったのに。


遠くで見ていた先輩は、気づいてくれていたんだ。





ドキッ



不思議な感覚があった。


ドキッとかいって、胸の高鳴る感覚。





僕がボーッとしていると、


丸山先輩は手を差しのべてくれる。




「歩くのきつい?

 肩かすよー?」




そう言って、にかっと無邪気に笑うんだ。




「保健室、いこっか!!」





僕はただ、

手を引かれるままに先輩についていった。






…なんだろう。


この気持ち。


初めての、感じだった。


< 86 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop