悪魔とドレイの聖夜の話。
送り主の悪魔の名前は、高崎健吾。
私が唯一個別着信設定を行っている、私の上司である。
しかも歳は私の二個下で、あろうことか年下上司だ。
歳は若いがかなりの切れ者で、重役たちからも信頼を得ている。
愛想も良く、少しの事にも良く気づく性格。おまけに顔も良いので女子社員たちからは部署を問わず王子様扱いされている。
……のはいいのだが。
察しの良い方なら既にお気付きであろう。
彼の下についてからというもの、何故か私だけがパシリのように扱われているのだ。
しかも会社では他の社員たちに気付かれないように、ひっそりと。
第三者が居る場所では、にっこり笑ってこれ見よがしに優しく接してきたりする。私的にはその笑顔が怖い訳だが。
おかげで、女子社員たちからは「遠山さんて高崎さんと仲良いのね」なんて嫌がらせをされる羽目になった。
狡猾だ。狡猾すぎる。いじめだ。パワハラだ!
と、叫ぶのは心の中ばかりで当人には言えた試しがない。
そんなに嫌なら断ればいいじゃないかという所なのだが、なかなかどうして、そういう事も出来ず。