こんなのズルイ。
私は首を傾げる。
「J1に昇格したことを?」
「いーや」
そう答えてしばらくタツキは考えるように黙っていたが、ぽつりと言った。
「俺たちの結婚を」
私とコウタは一瞬の間の後、それぞれ答える。
「お、おめでとう!」
「なんだよ、ついにか。きっとニュースになるんだろうな。〝Jリーガー、一般女性と結婚〟って」
タツキは小さく笑みを浮かべただけだ。どうしたんだろう、と思ったとき、どこからか携帯電話の着信音が聞こえてきて、コウタがジャケットのポケットからスマホを取り出した。
「悪い、サッカーチームの用事みたいだ」
そう言ってコウタは立ち上がり、靴を履いて店の出口に向かった。コウタはサッカーグッズのショップを経営しながら、子どもサッカーチームのコーチをしているのだ。
コウタの後ろ姿がドアの向こうに消えると、タツキがぼそっと言った。
「なんかさ、気が重くてさ」
私は黙ったままタツキを見た。
「そりゃ、メグは良い子だと思うよ。だけど、ちょっと口うるさいっていうか……。ファンの子と握手をしたとかデレデレした顔でしゃべったとか、後でグチグチ言われるんだよ」
「J1に昇格したことを?」
「いーや」
そう答えてしばらくタツキは考えるように黙っていたが、ぽつりと言った。
「俺たちの結婚を」
私とコウタは一瞬の間の後、それぞれ答える。
「お、おめでとう!」
「なんだよ、ついにか。きっとニュースになるんだろうな。〝Jリーガー、一般女性と結婚〟って」
タツキは小さく笑みを浮かべただけだ。どうしたんだろう、と思ったとき、どこからか携帯電話の着信音が聞こえてきて、コウタがジャケットのポケットからスマホを取り出した。
「悪い、サッカーチームの用事みたいだ」
そう言ってコウタは立ち上がり、靴を履いて店の出口に向かった。コウタはサッカーグッズのショップを経営しながら、子どもサッカーチームのコーチをしているのだ。
コウタの後ろ姿がドアの向こうに消えると、タツキがぼそっと言った。
「なんかさ、気が重くてさ」
私は黙ったままタツキを見た。
「そりゃ、メグは良い子だと思うよ。だけど、ちょっと口うるさいっていうか……。ファンの子と握手をしたとかデレデレした顔でしゃべったとか、後でグチグチ言われるんだよ」